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シンスプリント

走るとすねが痛む「シンスプリント」

走るとすねが痛む「シンスプリント」シンスプリントは、運動時や運動後にすねの内側に痛みを感じるスポーツ障害です。
これはオーバーユース(使いすぎ)によるもので、特にランナーやサッカー、バスケットボール選手に多く見られます。
激しい運動を繰り返すと発症しやすく、距離や負荷を減らすと改善することもありますが、運動を再開すると再発しやすいため注意が必要です。

シンスプリントの原因

シンスプリントの直接的な原因は、すねの骨に繋がっている骨膜への過剰な負担によるものです。
さらに、以下のような要因が重なると腫れや痛みが生じます。

運動環境

以下のような運動環境もシンスプリントの誘因になります。

  • 平坦ではない道路や固いグラウンドなどでの練習
  • 足の疲労による衝撃緩衝機能の低下
  • クッション性が悪い、かかとがすり減ったシューズの使用

運動量や質の急激な変化

運動内容が急に変わると、すねの骨に付着する筋肉を使いすぎることがあります。
特に初心者や運動を久しぶりに再開した人は、筋力不足や足首の柔軟性が低いことが原因でシンスプリントを発症しやすいです。
また、競技者でもシーズン初期や走り込みの時期にリスクが高まるため、注意が必要です。

足の形の異常

偏平足や回内足など足の形に異常がある場合、すね周りの筋肉に過剰な負担がかかり、炎症を起こしやすくなるため、シンスプリントの発症リスクが高まります。

シンスプリントの症状と重症度

シンスプリントの症状は、運動時の痛みやすね内側の圧痛、腫れが主です。
足を曲げると痛みが増し、休息で軽減します。
症状の進行段階は以下の通りです。

  1. ウォームアップで痛みが和らぐ
  2. ウォームアップ後も、活動の終わり頃に痛みが再発
  3. 活動中は常に痛むが、日常生活には影響なし
  4. 常時痛みがあり、日常生活にも支障

シンスプリントの痛みは、ふくらはぎ内側の下方1/3に現れ、初期は違和感程度ですが、進行すると安静時にも痛みが出ます。
脛骨疲労骨折とは痛みの位置が似ており、区別が困難な場合があります。
疲労骨折は痛みがピンポイントで現れることが多いですが、正確な診断は専門医の検査が必要です。

シンスプリントの検査と診断

シンスプリントの検査と診断シンスプリントの診断は、問診と身体診察が中心です。
X線検査では変化が見られないことが多いですが、症状が続く場合は疲労骨折を除外するため、再度X線やMRI検査、骨シンチグラフィーが行われることがあります。
長引く場合は、骨膜の炎症が見られ、のちに疲労骨折と診断が変わることもあります。
また、MRIでは、脛骨骨膜の肥厚が高信号で示されることがあります。
コンパートメント症候群との鑑別には、運動時のコンパートメント内圧を測定する特殊な圧力計を使用します。
(MRIは必要時近隣の提携病院で検査を行います)

シンスプリントの治療

リハビリテーション

急性期には電気療法や超音波治療で炎症を抑え、過剰使用以外の原因も評価し、リハビリで再発を防ぎます。
リハビリの内容は、下肢の柔軟性や足の形態を確認し、個別に対応します。
必要に応じてテーピングで固定することで負担を軽減します。
全身の姿勢や股関節の問題にも対処することも必要です。

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薬物療法

炎症に対しては、ロキソニンなどの非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)や湿布で症状を改善できます。
ただし、飲み薬の場合、長期使用は胃に負担がかかる可能性があるため注意が必要です。
痛み止めや湿布は一時的に痛みを和らげますが、原因が解決されないと再発リスクがあります。

装具療法

お子様から大人まで、その方に合わせた完全オーダーメイドのインソールを作成します。
インソールは足底部のアーチを補正し、足の形を改善します。
疼痛が強い場合は、足底部の衝撃を軽減する工夫も行います。
また、作成したインソールの状態を定期的にチェックし、問題がないか確認します。
シンスプリントに対するサポーターはありませんが、必要に応じて足関節のサポーターを使用する場合があります。

体外衝撃波治療

シンスプリントは「保存治療」で多くのケースが改善します。
しかし、6か月程度の治療で改善しない場合やプロ競技者のように早期回復が必要な場合、保存治療以外の有効な方法がありませんでした。
近年、体外衝撃波を利用した新しい治療法が導入されています。
衝撃波を当てることで、疼痛軽減や損傷組織の修復が期待できます。
副作用がほとんどなく、1回(約15~30分)の外来治療で済みますが、保険適用外のため自費診療となります。

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シンスプリントは何日で治る?走りながら治せる?

シンスプリントは何日で治る?走りながら治せる?まずは患部を安静にしましょう。
初期段階では2週間の安静でほとんどが改善します。
運動中に痛みが増す、痛みが強くて動けない、日常生活に支障が出る場合は運動を休む必要があります。
これらの状態は重症化しているため、疲労骨折のリスクもあります。
運動中に痛みが軽減する、運動後に痛みが出る程度なら、適切なケアをしながら運動を続けることができます。
筋膜の異常を取り除けば、走りながらでもシンスプリントを治せます。
筋膜をほぐし、負荷がかからない運動と併用するという選択肢もあります。

シンスプリントの予防

シンスプリントは、捻挫や骨折のように瞬時に起こるケガではなく、時間をかけて徐々に進行して行きます。
そのため、治療や予防に継続的に取り組む必要があります。
予防策として以下があります。

筋肉のケア

下腿の前面と後面の筋肉群に、マッサージや静的ストレッチ、アイシングを行います。
これにより筋肉の疲労を速やかに取り除くことや柔軟性の保持、炎症予防ができます。

適切な装具の選択

衝撃を吸収するシューズやアライメントの修正を促すインソールの使用は、足への負担を軽減する効果があります。
これにより、シンスプリントの予防や症状の改善が期待できます。

フォームの改善

正しい姿勢やフォームを保つことで、脚へのストレスを軽減できます。

これらの予防策は、長期的にシンスプリントのリスクを低減します。

シンスプリントに効くマッサージ

スネの内側のマッサージ

内側のくるぶしからスネの内側に沿って、指の腹を使いマッサージします。
骨から筋肉をはがすイメージで行い、強い痛みがある場合はさする程度にとどめます。

足裏のマッサージ

親指で足裏をマッサージします。
痛気持ちいい程度の強さで行い、硬さを感じる部分を重点的にマッサージします。

シンスプリントに効くストレッチ

ふくらはぎの筋肉が硬くなると、骨にストレスがかかり痛みの原因となります。
すねの痛みを感じる場合は、日頃からふくらはぎとすねのストレッチを入念に行いましょう。
壁に手をついて、膝を曲げることでひらめ筋が伸びてふくらはぎのストレッチができます。