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足底腱膜炎(足底筋膜炎)

足底腱膜と足底筋膜の違い

足底腱膜と足底筋膜の違い足底腱膜は、足裏の指の付け根からかかとまで伸びる短趾屈筋を覆う腱膜(線維性の組織)で、足のアーチを支える役割があります。一方、足底筋膜は足底腱膜の内側、外側にある筋肉(母趾外転筋、小趾外転筋)を包む膜状の組織で、その下にある筋肉も足のアーチを支えています。
このように、厳密には解剖学的に違う組織を指しており、痛みが生じやすいのは足底腱膜です。しかし、一般的には足底腱膜炎と足底筋膜炎の両方の使い方が混同されています。

足底腱膜炎とは

足底腱膜炎とは足底腱膜炎は、足裏のかかとから足指の付け根にかけての足底筋膜における慢性的な変性や組織の損傷により痛みが生じます。
朝起きたときや長時間休んだ後の第一歩に痛みが出やすいのが特徴です。
長時間の立ち仕事やマラソンなど足裏に負担がかかる運動が主な原因で、中高年に多く見られます。
足底腱膜は足のアーチを形成し、足底の骨に沿って走る厚い組織で、炎症が起こると足底のかかと部分やアーチ周辺に痛みが発生します。

足底腱膜炎(足底筋膜炎)の原因

足裏に負担のかかる運動の繰り返し

マラソンやハイキングなどのスポーツや立ち仕事が炎症を引き起こすことがあります。
特にコンクリートやアスファルト上での運動はリスクが高いため、陸上競技場や土の上で運動するのが望ましいです。

加齢

年齢とともに徐々に足底腱膜が硬くなり、クッション性が低下してくるため、ダメージが蓄積しやすくなります。

足裏のアーチのバランスの崩れ

足裏のアーチが高すぎる、または低すぎる場合、足底筋膜への負担がかかりやすくなり、炎症が生じやすくなります。

運動不足

運動不足によりふくらはぎの筋肉が弱まったり、アキレス腱が硬くなったりしていると、足底筋膜への負担がかかりやすくなります。

靴が合っていない

足裏のアーチを正しく支えられていない靴や、サイズが合っていない靴は、足底筋膜への負担を増加させます。
特に激しいスポーツを行うときには、適切な靴選びが重要です。

足底腱膜炎(足底筋膜炎)の症状

  • 朝起きてからの第一歩目に感じる鋭い痛み
  • 立ち上がったときの痛み
  • 歩行時の痛み
  • かかと、土踏まず、遠位部の痛み
  • 運動直後や翌日の痛み
  • つま先立ちしたときの痛み
  • 安静後の最初の一歩目に感じる痛み(特に朝起きてから)
  • 足指を反らしたときの痛み
  • 足の裏を押したときの痛み
  • 足底筋膜の軽い腫れ
  • 歩き始めると痛みが軽減するが、長時間歩くと再び痛みが出る

足底腱膜炎(足底筋膜炎)の検査と診断

レントゲン検査

足底筋膜炎では、踵骨棘が生じることがあり、レントゲン検査でこれを確認することや他の疾患との鑑別を行います。

超音波(エコー)検査

足底腱膜の付着部の炎症や肥厚を確認します。

MRI検査

炎症の範囲や程度、腱の損傷の程度などの詳細を調べられます。
足底腱膜炎の疑いがある場合、生活習慣や整形外科的な病気の有無を問診し、痛みの程度や部位を触診します。
踵骨に圧痛があれば足底腱膜炎を疑い、レントゲン検査で骨棘の有無を確認します。
また、超音波検査で足底腱膜付着部の腫れや肥厚、炎症の有無を確認し、MRI検査でかかと周辺の炎症や腱の異常を詳しく調べます。(MRIは必要時近隣の提携病院で検査を行います)炎症が落ち着いた段階で、肩の可動域を広げるためにリハビリを行います。
セルフリハビリが推奨され、無理をせず、自分の痛みを指標にリハビリ強度を調整します。

足底腱膜炎(足底筋膜炎)の治療

体外衝撃波

体外衝撃波治療で疼痛管理衝撃波を患部に照射して、短期的な痛みの緩和や長期的な組織修復を促進します。
6カ月以上の保存療法で改善が見られない場合に保険適用されます。

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リハビリテーション

ストレッチや筋力トレーニング、物理療法、姿勢・動作の習得などを実施します。
運動療法や理学療法器具を用いた治療、装具療法も含まれます。
医師の指導のもと、患者さんそれぞれに合ったリハビリを提供します。

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薬物療法

非ステロイド性消炎鎮痛剤や湿布を用います。
痛みが強い場合には、期間を限定してステロイド注射を実施することもあります。

PRP療法(PFC-FD™療法)

患者さんの血液から、組織の修復を促す『成長因子』を含むPRP(多血小板血漿)を抽出し、患部に注射します。

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手術療法

手術を行うのはごく限られた症例です。
必要な場合には、提携医療機関に紹介します。

足底腱膜炎(足底筋膜炎)のためのストレッチ

特に足の裏やふくらはぎの筋肉の柔軟性向上が重要です。
以下の簡単なストレッチを試してみてください。

ふくらはぎのストレッチ

  1. 足を前後に大きく広げて立つ
  2. 前側の膝を曲げ、体重を前方に移動させる
  3. 後ろ足のかかとを浮かせず、体重を下に降ろすこの時に後ろ足の膝は曲げず、かかとを地面から離さないようにし、足のつま先が外を向かないようにする(骨盤も広がらないように注意)
  4. 1回10秒間キープを左右交互に3セット行う

アキレス腱のストレッチ

  1. 足を肩幅に広げて立ち、一方の足を後ろに引く
  2. 前足の膝を曲げて体重を前方に移動し、後ろ足のアキレス腱を伸ばす
  3. 10秒間キープし、左右交互に3セット行う

スネのストレッチ

  1. 一方の足を後ろに引く
  2. 後ろ足のつま先を床に立てる
    この時、指を寝かせて膝を伸ばすようにすると伸びていることを感じやすい
  3. 1回10秒間キープを3セット行う

足底のストレッチ

  1. 床に片膝をつけて、もう一方の膝は立てた姿勢を取る
  2. 両手は立てた膝の上に置き、バランスを取る
  3. 後ろ脚のつま先を床につけ、かかとを浮かせる
  4. ゆっくりと体重を後ろ脚にかけていき、足底筋膜が伸びるのを感じる
  5. 1回10秒間キープを3セット行う

足底腱膜炎(足底筋膜炎)でやってはいけないこと

足底の運動

タオルを指で掴んで引き寄せる運動などは避けましょう。
炎症があるため、運動が悪化の原因になることがあります。
日常生活で必要な運動だけで十分です。
運動の再開は医師の指示に従い、ウォーキングや水泳などから始めるのが良いでしょう。

患部への過度な刺激

足裏を直接マッサージするのは避けましょう。
ゴルフボールでの刺激もおすすめしません。
代わりに、ふくらはぎや太もものストレッチやマッサージが効果的です。

身体の冷え

冷えが大敵です。
冬場やクーラーの冷気で足元が冷えると、回復が遅れ、痛みが増します。
レッグウォーマーを使用するなどして足元を温かく保ちましょう。

合っていないインソール

治療でインソールを使用することがありますが、合わないインソールは逆効果です。
医療機関で適切なインソールを選んでもらいましょう。

合っていない靴

スリッパやビーチサンダル、ハイヒール、大きめの靴、靴紐を緩めたままの靴は避けましょう。
合わない靴は足底筋膜に負担をかけ、悪化させることがあります。
靴を選ぶ際は、縦の長さ、横幅、甲の高さなどを考慮しましょう。