- 膝が曲げにくくなる「変形性膝関節症」
- 変形性膝関節症の原因
- 変形性膝関節症はどんな人に多い?
- 変形性膝関節症の症状がひどくなるとどうなる?
- 変形性膝関節症の検査と診断
- 変形性膝関節症の治療
- 変形性膝関節症の予防
- 膝の痛みやこわばりのある方は当院まで
膝が曲げにくくなる
「変形性膝関節症」
変形性膝関節症は、高齢者、特に女性に多い病気で、骨のすり減りにより膝の骨が近づき、骨棘が形成され、脚が変形します。
一度すり減った軟骨は自然に治りません。
この病気には、特定の原因がない「一次性変形性膝関節症」と、先天異常や外傷など明らかな原因がある「二次性変形性膝関節症」があります。
多くは加齢によるもので、膝関節の負担で軟骨がすり減る一次性です。
変形性膝関節症の原因
変形性膝関節症の主な原因は関節軟骨の老化です。
加齢により関節軟骨が弾力性を失い、すり減って関節が変形します。
肥満や遺伝子も関与しています。
また、外傷や感染症の後遺症として発症することもあります。
変形性膝関節症は
どんな人に多い?
変形性膝関節症になりやすい人の特徴は以下の通りです。
高齢の方
加齢により筋力が低下し、膝の周りの筋肉が衰えて膝関節に負担がかかりやすくなります。
高齢の方は日頃から膝のチェックが必要です。
女性の方
女性は男性の約2倍の罹患者数とされ、体重や筋肉量、女性ホルモンの影響があります。
閉経後のエストロゲン減少が軟骨のすり減りやすさに関係しているとされています。
肥満の方
膝は体重を支える役割を担っており、階段を昇る際には体重の6〜7倍の負荷がかかります。
体重が重いと膝の関節への負担も増大します。
過度の負荷
重いものを運ぶ人など膝に大きな負荷がかかる仕事をしている人も、変形性膝関節症になりやすいと考えられています。
運動習慣がない人
運動習慣がないと膝周りの筋肉が衰えやすくなります。
過度なものではなく、ウォーキングや水中歩行などの軽度な運動習慣を身につけることが大切です。
変形性膝関節症の症状が
ひどくなるとどうなる?
変形性膝関節症は徐々に進行し、症状が悪化するため、早期治療が重要です。
膝が曲げにくい初期
朝起きたときに膝がこわばり、動かしにくくなります。鈍い痛みを感じることもありますが、しばらく動くと治まります。少し症状が進むと正座や階段の上り下りで痛みが出始めます。
膝の形が変わる中期
休んでも痛みが消えにくくなり、正座や深くしゃがむ動作が難しくなります。
膝が腫れて熱感が生じ、関節液の分泌が増えるため、膝の変形が目立ち、歩くときにきしむ音がします。
生活に支障をきたす末期
関節軟骨がほとんどなくなるため、骨同士が直接ぶつかります。
普通に歩いたり座ったりするのも難しくなり、痛みから日常生活に支障をきたすため、精神的な負担も大きくなります。
変形性膝関節症の
検査と診断
問診や診察、触診で膝内側の圧痛、関節の動き、腫れ、O脚変形などを確認し、X線(レントゲン)検査で診断します。
必要に応じてMRI検査も行います。
(MRIは必要時近隣の提携病院で検査を行います)
変形性膝関節症の治療
保存療法
リハビリテーション
膝関節周りの筋力トレーニングや柔軟性改善を行い、筋力強化や動き方の訓練をします。
運動療法では、筋トレやストレッチで足の筋力をつけ、膝への負荷を軽減します。
特に大腿四頭筋を鍛えることで膝の安定性が高まり、痛みの軽減や進行の予防が期待できます。
ただし、運動のしすぎや不適切な運動は逆効果になることもあるため、必ず医師の指示に従う必要があります。
薬物療法
抗炎症薬(NSAIDs)や解熱鎮痛剤を使用します。
これらの薬の内服や患部への塗布によって痛みと炎症を抑えます。
初期症状が軽い場合、1〜2週間の使用で症状が緩和されることがあります。
NSAIDs(ロキソニン、セレコックスなど)は優れた鎮痛効果がありますが、長期間の使用は副作用が懸念されます。
関節腔内注射
関節腔内注射には、鎮痛・抗炎症効果のあるステロイド注射と、軟骨保護作用のあるヒアルロン酸注射があります。
ステロイドは即効性がありますが、長期使用は副作用のリスクがあるため避けます。
ヒアルロン酸注射は定期的に行うことで痛みを緩和しますが、進行した場合は効果が薄れます。40代以上の方には週1回で5回行い、その後は状態に応じて2週に1回の投与を行います。
物理療法
温熱療法、超音波治療、電気刺激療法、レーザー療法などを行います。
これらの治療法により、膝周辺の血流を改善し、痛みの緩和や運動機能の活性化を促します。。
定期的に行い、運動療法と組み合わせることで効果が高まります。
装具療法
靴へのインソールや膝サポーターを使用して膝の負担を軽減します。
足底板療法(オーダーメイドのインソール)は膝への負荷を減らし、痛みの緩和や進行の防止に役立ちます。
膝サポーターは膝を安定させますが、長期使用は筋力低下のリスクがあるため避けます。
手術療法
膝の変形が進行した場合や保存療法を6ヶ月以上続けても改善しない場合には手術が検討されます。
手術療法には、矯正骨切り術と人工膝関節置換術があります。
これらの手術は大掛かりで体に負担がかかりますが、膝の痛みの改善が期待できます。
手術が必要な場合は、適切な医療機関を紹介し、術前・術後のリハビリテーションを連携して行います。
変形性膝関節症の予防
変形性膝関節症のリスクを下げるために、以下のような予防方法をとると良いでしょう。
適切な体重維持
体重を適切に保つことは膝への負担が減るため、変形性膝関節症の予防になります。
そのため、バランスの取れた食事で食事の量をコントロールしましょう。
減量は膝の負担を軽減し、予防と治療の両方に効果があります。
適度な運動
継続的な運動は膝周りの筋力を強化し、変形性膝関節症のリスクを減少します。
運動習慣がない方であれば、軽度のウォーキングから始めることをお勧めします。
筋力の向上は予防に重要です。
関節への負荷軽減
自分の歩き方に注意し、X脚やO脚、回内足や回外足などの特徴をチェックしましょう。
歩き方を改善することで膝に均等に荷重がかかり、負担が分散されます。
理学療法士の指導を受けて正しい歩き方を学ぶのも有効です。
禁酒・禁煙
過度の飲酒や喫煙はリスクを上昇させます。
その他の健康を阻害するリスクでもあるため、禁煙・禁酒を心がけましょう。
膝の痛みやこわばりの
ある方は当院まで
膝への違和感を感じたら整形外科を受診して下さい。
天王寺整形外科クリニックNでは、整形外科学会専門医の院長が診察いたしますので、安心して診察をお受けいただけます。
ちょっとした違和感でも、遠慮なく当院までお越しください。