- 頸椎ヘルニアとは
- 頚椎症とは
- 頸椎ヘルニアと頚椎症の違い
- 頸椎ヘルニア・頚椎症の原因
- 頸椎ヘルニア・頚椎症の症状チェック
- 頸椎ヘルニア・頚椎症の検査と診断
- 頸椎ヘルニア・頚椎症の治療
- 頸椎ヘルニア・頚椎症の予防
- 頸椎ヘルニア・頚椎症でやってはいけないこと
頸椎ヘルニアとは
頚椎には脳から手や肩に信号を送る神経組織である頚髄(脊髄)が通っています。
そして、各頚椎の間には椎間板というクッションがあります。
頚椎椎間板ヘルニアでは、この椎間板が破れて神経を圧迫します。
頚椎症とは
椎間板は20歳過ぎから老化が始まり、ひびが入ったり潰れたりすることがあります。
これにより頚椎にとげ状の突起である『骨棘』が生じ、靭帯の石灰化や骨化が進むことで脊髄や脊髄から枝分かれした神経が圧迫されます。
頚椎症性神経根症
脊髄から分かれて上肢へ向かう神経が圧迫や刺激されることで生じる疾患です。
頚椎症性脊髄症
頚椎の脊柱管内にある脊髄が圧迫されて起こる疾患です。
頸椎ヘルニアと頚椎症の
違い
頚椎ヘルニアは椎間板が圧迫され、髄核が飛び出して神経を圧迫することで症状が現れます。
一方、頚椎症は椎骨や椎間板の変性、靭帯の肥厚により神経が圧迫されて症状が発生します。
頸椎ヘルニア・頚椎症の
原因
頚椎ヘルニアと頚椎症の主な原因は老化です。
軟骨は加齢により減少し、骨同士がぶつかることで問題が生じます。
また、軟骨の老化には動脈硬化など血管の老化が影響し、糖尿病や高血圧、喫煙などが原因となります。
一般的に30~40代から始まり、男性に多く見られます。
局所的な要因として、首や頭への衝撃があり、コンタクトスポーツや不良姿勢などで繰り返し外力を受けることで、軟骨の老化が早まる可能性があります。
頸椎ヘルニア・頚椎症の
症状チェック
頸椎ヘルニアの症状
- 突然の激しい首の痛みや肩、腕への放散痛
- 動作や姿勢によって痛みが悪化することがある
- 片側の腕や手に放散する鋭い痛みやしびれ
- 感覚異常(麻痺感や触覚の鈍さ)
- 歩行障害やバランス感覚の低下
- 排尿障害や下肢のしびれ・筋力低下(重症例)
頚椎症の症状
- 首の痛みやこわばりが徐々に進行
- 朝起きた時や長時間同じ姿勢の時に痛み、こわばりが悪化する
- 首や肩の周辺に局所的な痛みがある
- 動かした時に「ゴリゴリ」という音や感覚を感じることがある
- 腕や手に放散する痛み、しびれ、感覚異常
- 歩行障害や下肢のしびれ・筋力低下(重症例)
頸椎ヘルニアと頚椎症の
症状の違い
痛みの急性度
頸椎ヘルニアは急性発症が多く、頚椎症は慢性的に進行します。
局所対放散痛
頸椎ヘルニアでは急性の放散痛が特徴的ですが、頚椎症は局所的な痛みや慢性的なこわばりが主です。
神経症状
両方とも神経症状を引き起こしますが、頸椎ヘルニアはより急激で重度な神経症状を引き起こすことが多いです。
脊髄圧迫症状
両方とも重度になると脊髄圧迫症状が現れますが、頚椎症はより緩やかに進行することが多いです。
頸椎ヘルニア・頚椎症の
検査と診断
検査や診断は以下の通り行われます。
診察
症状の把握が重要です。
両手に症状がある場合は脊髄症を疑います。
片手の場合、神経根症が疑われますが、手根管症候群や肘部管症候群との鑑別が必要です。
首を後ろに傾けるとしびれが増強する場合は神経根症の可能性が高まります。
以下のようなテストや反射を見て診断します。
- Jacksonテスト:頚部をやや後ろに傾けた状態で、頭部を上から圧迫すると、症状のある側の上肢や肩甲骨にしびれや痛みが生じる
- Spurlingテスト:頚部を症状のある側へ傾けた状態で、頭部を上から圧迫すると、症状のある側の上肢や肩甲骨に痛みが走る
- 深部腱反射:脊髄症では亢進
- 病的反射:脊髄症で出現
X線検査
頚椎の変性、椎間板の狭窄、脊柱管の狭さ、背骨の破壊、後縦靭帯骨化症の有無を確認します。
CT
(近隣の提携病院で
検査を
行います)
背骨の変形や後縦靭帯骨化症のX線よりも詳細に確認します。
MRI
(近隣の提携病院で
検査を
行います)
診断確定のために最も重要な検査で、背骨や椎間板が脊髄や神経根を圧迫している状態を確認します。
頸椎ヘルニア・頚椎症の
治療
ここからは両者の治療についてお伝えします。
頸椎ヘルニアの治療
保存療法
急性期の痛み(発症から2~3週間)は頚椎カラーを装着し、安静を保ちます。
消炎鎮痛剤(湿布)も使用して経過を観察します。
神経ブロック注射
保存療法で症状が改善しない場合、神経ブロック注射を行い、直接神経に注射して痛みを抑えます。
手術療法
保存療法を2~3ヵ月行っても効果がない場合や、痛みが増して運動機能障害が進行する場合に手術を行います。
手術の目的は症状の進行を止め、少しでも症状を軽減することです。
頚椎症の治療
保存療法
急性期の痛みや軽度の症状には、消炎鎮痛剤(湿布など)を使用して経過を観察します。
筋肉由来の強い痛みには、トリガーポイント注射(局所麻酔薬)が有効です。
手術療法
保存療法で効果がなく、痛みの持続や増強、運動機能障害が進行して生活の質が低下する場合には手術を行います。
ただし、手術となる割合はかなり少ないです。
頸椎ヘルニア・頚椎症の
予防
頸椎ヘルニアの予防
年齢を重ねることにより生じてくるため避けられませんが、以下の点に注意することで予防につながります
- 見上げる・首を反らす動作を控える
- 重い物を持ち上げる動作を控える
- パソコンやスマホを見る際は顎を引き、背筋を伸ばす
など
頚椎症の予防
こちらも老化による変性は避けられませんが、日常的に頸椎への負担を減らすことで予防が可能です。
具体的な方法は以下の通りです。
- 長時間のうつむき姿勢を避け、良い姿勢を保つようにする
- 首のストレッチで筋肉をほぐし、血流を促す
悪い姿勢や重い物の上げ下げは頚椎に負荷をかけますので注意して下さい。
頸椎ヘルニア・頚椎症で
やってはいけないこと
手を枕にして横向きに寝ることやうつぶせ寝はやめましょう。
基本は仰向けで、枕の高さを調節します。
また、首を曲げて下を向く・上を向く姿勢を長時間続けないようにすることも大切です。
パソコンやスマホの操作、勉強などで下を向く姿勢が続く場合は、20~30分ごとに休憩して下さい。