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母指CM関節症

母指CM関節症とは

母指CM関節症とはCM関節とは親指と手首の間にある小さな関節で、『物をつまむ』『物を握る』ときに痛みが生じることがあります。
このような痛みは、母指CM関節の軟骨がすり減って、関節の滑膜に炎症が生じることで起こります。
進行すると、骨と骨が直接当たるため、痛みが増強します。

母指CM関節症の原因

負荷の蓄積や加齢、女性ホルモンの影響などが原因で発症します。

親指への負担蓄積

仕事や家事、スポーツなどで手を頻繁に使うと、CM関節に負担がかかり続けます。
長期間の負担蓄積により、関節軟骨が摩耗し痛みが生じやすくなります。
主婦やピアニスト、料理人、スポーツ愛好者、手芸や細かい作業をする人など日常的に手を酷使している方のリスクが高いです。

加齢や老化

骨の新陳代謝は年齢を重ねるごとに低下し、関節内の軟骨がすり減りやすくなります。
そのため、中高年以降は手を酷使しなくても発症のリスクが高まります。

女性ホルモンの影響

女性の場合、閉経に伴い、関節や腱の柔軟性を保つ役割を持つ女性ホルモン『エストロゲン』の分泌が低下します。
このため、更年期以降(40〜70代)は発症リスクが高まります。

母指CM関節症と
女性ホルモンの関係

母指CM関節症と女性ホルモンの関係女性ホルモンの減少が関係しています。
更年期に閉経に伴ってエストロゲンが減少すると、腱や関節の柔軟性が低下し、関節の炎症を引き起こしやすくなります。
このため、母指CM関節症は更年期に多く見られます。

母指CM関節症の症状を
セルフチェック

以下のような症状が見られる場合、母指CM関節症の可能性があります。

母指CM関節症の症状をセルフチェック

  • 親指の付け根が腫れている
  • ドアノブを回す時に痛みを感じる
  • タオルを絞る時に痛みを感じる
  • ペットボトルやビンの蓋を開ける際に痛む
  • 字を書く時に痛みを感じる
  • 親指が動かしにくい
  • 親指が変形している

母指CM関節症の検査と診断

親指の付け根にあるCM関節に腫れがあり、押すと痛みが生じます。
また、捻るような動作で強い痛みが現れます。
これらと似た症状が出現する、他の腱鞘炎やリウマチによる関節炎を除外するために、X線検査を行います。
X線検査では、CM関節の隙間や亜脱臼の状態、骨棘の有無などを確認します。

母指CM関節症の治療

母指CM関節症の治療の基本は、患部の安静を保つことです。
軽症の場合、手を使わないようにすることで改善するケースが多いです。
しかし、変形が進んでいる場合や痛みが強い場合には、注射や外科手術が必要なこともあります。
また、当院では新しい治療法として体外衝撃波治療も行っており、積極的に痛みの改善を図ります。

保存療法

手外科とは治療では、基本的に親指の付け根を動かさず、休ませることが重要です。
軽症の場合であれば、湿布を貼って固定するだけで痛みや腫れの改善が見られることが多いです。
また、患部の安静を保つために装具を使用することもあります。
親指から手首にかけて8の字に巻いた固めの包帯やテーピングで動きを制限します。
日中の装着が難しい方でも、夜間の装着だけでも効果があります。

薬物療法

患部の痛みが強い時には、湿布や内服薬などの消炎鎮痛薬を使用します。
これでも痛みが和らがない場合は、さらに強い消炎鎮痛剤を内服や、関節内への注射を検討します。

動注治療

母指CM関節症などの変形性疾患では痛みの原因となる異常な血管(モヤモヤ血管)がみられることが多いです。動注治療ではモヤモヤ血管を減らす薬剤をピンポイントで注入するため副作用が少なく数分の処置で高い除痛効果が期待できます。
※この治療はオクノクリニックの奥野先生によって2014年に開発されたものです。 当院はオクノクリニックとライセンス契約を結び動注治療を行なっております。

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体外衝撃波

体外衝撃波治療消炎鎮痛薬などで効果がない場合、当院では「体外衝撃波治療」を行っています。
この治療法は、高出力の圧力波を照射して痛みを取り除き、細胞の再構築を促します。
治療時に軽い痛みがありますが、麻酔は不要で副作用もほとんどありません。

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関節内注射(ステロイド注射)

日常生活に支障を来すぐらい、痛みや腫れが強い場合や投薬治療などで改善されない場合は、ステロイド注射を関節内に行います。
これにより、炎症や腫れ、痛みを抑えます。
ただし、短期間に頻繁に使用すると関節軟骨の損傷が進む可能性があるため、注射の間隔を開けることが重要です。

手術

痛みが強く、関節の変形が高度な場合や、変形が進行している場合は手術が必要です。
手術は局部麻酔または全身麻酔で行われ、1~2時間程度で終了します。
術後は3~4週間のギプス固定が必要で、その間は強く握る動作は禁止です。
リハビリは術後4週間くらいから始め、3か月を目標に強く掴む動作を再開します。
手術には以下の2通りがあります。

切除関節形成術

片方の骨(大菱形骨)の一部を切除し、CM関節周囲の靱帯の再建を行います。
手に力が入りにくくなりますが、関節の動きは維持されます。

関節固定術

関節の表面を削り、ワイヤーやネジで固定します。
手の力は入りやすくなりますが、手の動きが若干悪くなります。
進行した母指CM関節症や、手に高度な負荷がかかる仕事をしている人に実施されます。

母指CM関節症の
ストレッチ方法

※方法が分からない場合や痛みが強い場合は無理をしないようにして下さい。
以下は、親指を閉じる筋肉(母指内転筋)のストレッチ方法です。

  • 両手のひらを上に向けて、手首を身体の前で交差させます
  • 症状の出ている手の親指の付け根に、反対側の手の指を添えます
  • 症状の出ている手の親指の付け根を外側へと開くように伸ばします
  • 親指の付け根の筋肉が伸びていることを意識します