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ブロック注射 ・ハイドロリリース(筋膜リリース)

ブロック注射とは

ブロック注射とは麻酔薬を痛みのある部位の神経付近に注射し、痛みを軽減します。
この治療は外来で、つまり日帰りで受けることができ、健康保険が適用されます。
全身の痛みにも対応可能で、顔や首、肩、腰、手足、膝といった部位の痛みだけでなく、帯状疱疹の痛み、顔面神経麻痺、突発性難聴などにも有効です。

このような症状の方におすすめです

  • 飲み薬があまり効果を発揮しない
  • 塗り薬や貼り薬では症状が緩和されない
  • 電気治療やマッサージが効かない
  • すぐに痛みを和らげたい
  • 痛みの解消に手術をすすめられたが、長期間の休養が取れない
  • 手術後の痛みや違和感が消えない
    など

ブロック注射の効果

ブロック注射の効果麻酔薬の注射により、過敏になっている神経を鎮静し、痛みが繰り返される悪循環を断ちます。
麻酔薬の注射は一時的な鎮痛効果だけではなく、神経を落ち着かせることが重要です。
痛みがあると神経が過敏になり、血管や筋肉が収縮し、血行不良を引き起こします。
この結果、痛みを引き起こす物質が蓄積し、さらに痛みを引き起こすという悪循環が生じ、慢性的な痛みになります。
ブロック注射により神経を鎮静することで、血管や筋肉の収縮がなくなり、血流の改善が見込めます。
これにより、患部への酸素や栄養素の供給が正常化することや老廃物の排出が促進され、痛みが緩和されます。
そのため、注射した麻酔の効果が切れた後でも、血行が改善された患部の状態は良くなり、痛みが和らいでいきます。
ブロック注射は、痛みを一時的に緩和する以上に、血行の改善によって、神経や筋肉に酸素や栄養を届けることで悪循環を断ち切り、痛みを根本から解消へと導く治療法です。

ブロック注射の効き目が続く時間

効果が出るまでの時間には個人差はありますが、注射後数時間以内に痛みが緩和されることが多いです。
また、効果の持続時間にも個人差があり、一概には言えません。
数時間で途切れる場合もあれば、数カ月以上持続する場合もあります。
効果の持続時間があまりに短い場合は、ブロック注射の種類の変更も検討します。

ブロック注射の種類

椎間関節ブロック

椎間関節の変形が原因となる腰痛に対して行うブロック注射で、比較的痛みが少ないのが特徴です。

仙腸関節ブロック

仙腸関節の障害が原因の臀部痛に対して行うブロック注射で、こちらも比較的痛みが少ないブロック注射です。

硬膜外ブロック

仙骨裂孔という穴からうつ伏せの状態で行うブロック注射です。
腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、ぎっくり腰などに伴う腰痛や下肢痛に有効です。

神経根ブロック

脊髄神経の根元である神経根にブロック注射を行います。
腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛に非常に高い効果を示します。

トリガーポイント注射

刺激に対する感受性が高まっているツボである「トリガーポイント」に対して行うブロック注射です。
皮膚の浅い部分に注射を行います。
首や肩、背中、腰、四肢といった全身の筋膜・腱膜の痛みの緩和に効果を発揮しますが、強い神経痛への効果はあまり期待できません。

ブロック注射の流れ

1初診

保険証、お薬手帳を持参してください。
また、紹介状(診療情報提供書)や他院で撮影した画像がある場合は、併せてご持参ください。
来院後、問診票を記入いただきます。

2診察・検査

問診票を確認し、医師がお話を伺います。
必要に応じて血液検査やレントゲン検査を実施します。
診察後、ブロック注射が適切と判断されれば、その内容を詳しくご説明し、ご納得いただいた上で治療を行います。

3安静

治療後は処置ベッドや待合室でしばらくお休みください。
ブロック注射の種類によって安静時間は異なりますが、注射後に20~60分の安静が必要な場合もあります。

4評価

患者さんからのお話を確認しながら、ブロック注射の効果を判定します。
その後、今後の治療方針についての相談を行い、ご帰宅となります。
ブロック注射の内容によっても異なりますが、ご来院からご帰宅までの所要時間は、初診の場合は1〜2時間、再診の場合は30分~1時間程度が目安です。

ブロック注射の副作用・リスク・禁忌

ブロック注射では局所麻酔剤を使用するため、注射後に眠気や血圧の低下、筋力低下、声のかすれなどの症状が現れることがあります。
ただし、これらは一時的なものであり、30〜60分後には回復します。
また、注射部位の出血、感染、神経障害、使用薬剤に対するアレルギー反応などの可能性もありますが、重篤な副作用の発生頻度は5,000〜10,000人に1人程度とされています。
経験豊富な医師による施術では、副作用の頻度は非常に低くなります。
万が一、危険な副作用が発生した場合に備え、当院ではAED、酸素吸入、人工呼吸など、救急対応ができるように万全な体制が整っています。

ブロック注射できない人とデメリット

神経ブロックの欠点は、注射する際に出血と感染のリスクがあることです。
また、下記のような方はブロック注射を行うことができません。

  • 出血傾向のある人
  • ワーファリンなど血液を止めにくくする薬を内服している人
  • 糖尿病や高血圧がコントロールされていない人
  • 当日透析を予定している人
  • 発熱などで感染が疑われる人

ハイドロリリース(筋膜リリース)とは

ハイドロリリース(筋膜リリース)とはハイドロリリース(筋膜リリース)は近年開発された治療法です。
エコー(超音波検査)技術の発展により、筋膜が筋肉のこりや痛みに関与していることが明らかになりました。
この治療では、エコー画像を用いて筋膜に薬液を注入し、筋膜の癒着を分解します。
これにより筋肉の運動が改善され、痛みが緩和される効果が期待されます。
また、最近では神経の癒着も解消する効果が認められ、手足のしびれにも適用されています。
従来の局所麻酔や痛み止め注射とは異なり、ハイドロリリースは生理食塩水と微量の麻酔・鎮痛剤を使用するため、副作用が少なく体への負担が軽減されているのも特徴です。
治療後は、同じ症状を繰り返さないためにも生活習慣や姿勢の改善が重要であり、運動療法や理学療法士によるリハビリが推奨されています。

ハイドロリリースの対象疾患

  • 頚部痛、寝違え、むちうち
  • 肩こり
  • 背部痛
  • 腰痛、ぎっくり腰
  • 梨状筋症候群
  • 筋筋膜性腰痛
  • 術後創部癒着
  • 肘部管症候群
  • 手根管症候群
  • 外傷後の後遺症

ハイドロリリースとブロック注射の違い

ブロック注射(局所注射)は痛み止めや麻酔薬などを注射し、薬液の作用によって痛みの改善を図ります。
一方でハイドロリリースは、根本的な筋膜や神経の問題にアプローチする治療法です。
そのため、長期的な効果が期待され、再発を防ぐためにも継続したアフターケアが重要です。

ハイドロリリースの効果

  • 肩こりの軽減
  • 肩関節周囲炎の改善
  • 頚椎症による症状の軽減
  • 僧帽筋筋膜症の痛みの緩和
  • 肩や頸周囲、腰部の凝りや疼痛の緩和
  • 筋・筋膜性腰痛症の症状の軽減 など

ハイドロリリースの効果はいつから?

注射の効果は、施術直後から実感でき、適切な場所への注射が行われれば、個人差はありますが、即座に7~8割の痛みが軽減されるとされています。
痛みが再発することもありますが、元の痛みの強さまで戻ることは少なく、通常は1~3回の通院で治療を完了します。
効果を感じる時期にも個人差がありますが、一般的には以下のような経過となることが多いです。

即時効果

治療直後に痛みや不快感の軽減を感じることが多いです。局所麻酔薬がすぐに作用するため、数分から数時間以内に効果が現れることがあります。

数日以内

治療後数日間でさらに効果を感じることが多いです。注入された液体が筋膜や関節周囲の組織に浸透し、緊張を緩和する効果が出てくるためです。

数週間以内

一部の人では、最初の治療から数週間後に最も効果を感じる場合もあります。組織の修復や再生が進むことで、持続的な改善が見られることがあります。

追加治療

必要に応じて複数回の治療が行われることもあります。治療を重ねることで、より持続的な効果が期待できることがあります。

個人の体質や症状の程度、治療箇所によって効果の現れ方は異なるため、担当医とよく相談することが重要です。また、治療後の適切なアフターケアやリハビリも効果を維持するために重要です。

ハイドロリリースは何回やればいい?

初回は通常保険適用で行います。
症状が軽い場合、1回の注射で改善することが多いですが、症状が強い場合は複数回の注射が必要です。
頻度に決まりはありませんが、1~2週間に1回の頻度が推奨され、効果が少ない場合は繰り返し注射することで効果が出やすくなります。
また、根本治療のための理学療法士によるリハビリを併用すると相乗効果が期待できます。
治療効果には個人差があり、必ずしも効果が現れるわけではありません。

ハイドロリリースのメリット・デメリット

エコーを使用することで発痛源への正確なアプローチが可能です。
また、生理食塩水等を使うため、副作用やアレルギーの心配もありません。
投与回数や投与箇所などの制限もありません。
デメリットとしては、注射であるため、痛みがあり、その他にも出血や腫れを生じることがあります。
また、感染のリスクはごく稀ですが0%ではありません。
姿勢の改善や運動療法が見込めないと、短期的な効果しかない可能性があります。
保険診療の実施には、

  • 麻酔薬を使用する必要がある
  • 1週間に1回しか打てない

などの制約があります。

ハイドロリリースの流れ

1診察

問診や身体所見を通じて、症状の原因を特定します。

2レントゲン検査

原因が関節や骨、脊髄、脊椎からと疑われる場合には、レントゲン検査を行います。

3超音波(エコー)検査

超音波エコー検査で原因箇所を確認の上、ハイドロリリースが最適と判断された場合には治療を行います。

4ハイドロリリースの実施

エコーガイド下でハイドロリリースを行います。
神経や血管を傷つけないように超音波エコーで部位を確認しながら、注射を行います。

5終了

特に異常がなければ終了後にご帰宅いただけます。
安静の必要もありません。

ハイドロリリースの注意事項

治療効果は、個人差がありますが、だいたい数日〜2週間前後で実感していただけます。
ただし、ハイドロリリースにより癒着などが解消したとしても、根本の原因である身体の使い方を改善しない限り再び癒着を起こして症状が再発します。
再発予防のためには、正しい姿勢をとれるようにストレッチをしたり、筋肉を鍛えたりといったことを行う必要があります。
ハイドロリリースを受けた後に、一定期間のリハビリを受けていただくことは、再発防止に効果的です。
なお、運動療法は健康保険適用内での治療を行います。
また、ハイドロリリース当日からシャワー浴が可能です。
ご帰宅後、安静に過ごす必要もありません。

ブロック注射・ハイドロリリースの費用

ブロック注射の費用

ブロック注射の費用は、症状や状態、注射の種類などにより大きく異なります。
詳細についてはお気軽にお問い合わせください。
また、同じ疾患でも、注射の種類や使用する薬剤、レントゲンの撮影枚数、血液検査の有無などによって費用が変動することがありますので、あらかじめご了承ください。

ハイドロリリースの費用

ハイドロリリース治療は、保険適用で対応可能です。
患者さんのご負担は、1割~3割(80~240円)となります。ただし、症状や検査内容により、負担額が若干変動することがあります。
詳しくは、当院までお問い合わせください。