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腰痛

腰痛とは

腰痛とは腰は5つの骨(腰椎)で構成され、腰痛の大半は腰椎に負担がかかることで発症します。
しかし、他にも様々な要因が関与します。
また、腰痛の中でも非特異的腰痛は、神経症状のしびれ・麻痺や重篤な基礎疾患がなく、画像検査でも痛みの原因が特定できない腰痛のことを指します。
急性腰痛の「ぎっくり腰」もこちらに含まれます。
無理な動作による捻挫や椎間板・筋腱・靭帯の損傷が多いと考えられますが、具体的な原因の特定は難しいです。
治療法は原因や病態によって異なるため、正確な診断が重要です。
診察の際には、腰の痛みの状態や、他の部位の痛みについて詳しく伝えるようにしてください。

ぎっくり腰

ぎっくり腰突然腰に激しい痛みが走り、身動きが取れなくなる状態です。
主な原因は腰椎の椎間関節症で、腰に力がかかった時に椎間関節周囲の靭帯が捻挫することから生じます。
重いものを持ち上げたり、不意に体をひねった際に急な痛みが発生し、お尻や太ももの外側にも痛みが出ることがあります。

症状

動くと痛むため、ソーッとしか動けず、ひどい場合はまったく身動きできません。
立ち上がっても腰を伸ばせず、前かがみの姿勢になります。

治療法

痛み止め薬を使用し、3日~1週間安静にすることで痛みが和らいでいきます。
強い痛みが治ってきたら、再発予防のために腰痛体操を実施します。
ぎっくり腰は画像検査で原因が見つからないことが多いですが、長引く場合にはヘルニアなど他の病気の可能性があるため、MRIなどで詳しく調べる必要があります。(MRIは必要時近隣の提携病院で検査を行います)

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアは、椎間板が飛び出して神経を圧迫することで、腰痛や足のしびれを引き起こす病気です。
椎間板の老化は20歳頃から始まり、弾力が失われると損傷しやすくなります。

症状

20~40代に多く見られ、初めは腰痛が出現、次第に下肢にしびれや痛みが広がります。
多くは腰椎下部で発生し、坐骨神経痛として太ももや足の指に痛みが広がります。まれに腰椎上部では、大腿神経痛として太ももの前側に痛みが出ることもあります。
物を拾う時や長時間座っている時に悪化しやすく、咳やくしゃみで激痛が走ることもあります。重症になると足に力が入らなくなり、つまずきや尿が出にくくなることもあります。

治療法

まず、痛みの少ない姿勢で1~2週間安静にし、痛み止め薬や神経ブロック注射を使用します。
痛みが和らいだら、温熱療法、腰痛体操、マッサージなどのリハビリを行います。
数か月で自然に治ることが多いですが、筋力低下や排尿の問題があれば手術を検討します。

腰椎分離症

腰椎分離症は疲労骨折の一種で、長期間にわたり繰り返し負荷がかかることで発症します。
スポーツの練習などが主な原因です。

症状

初期の腰椎分離症では、スポーツ時や直後に腰に違和感や痛みを感じることがあります。特に腰を反らす動作で痛みが出やすいです。
進行すると、骨が完全に折れ、腰のグラつきが生じます。
スポーツ以外でも、立ちっぱなしや座りっぱなし、歩行時に腰や下肢の痛みやしびれが出現します。日常生活に支障をきたす可能性が高まります。
また、進行するとすべり症に移行するリスクがあります。
すべり症になると、下肢のしびれや痛みに加え、下半身の動きが悪くなり、排泄障害などの深刻な症状が出る可能性があります。

治療法

急性期には、スポーツ禁止を前提に薬物療法やコルセットを用いた装具療法を行います。
数ヶ月間の安静で、腰椎の癒合が期待できます。
早期発見と早期治療が大切です。
慢性期では、痛みを和らげる体操やストレッチ、軟性コルセットの装着が基本的な治療です。
痛みがなくなれば運動も可能ですが、医師の指導が必要です。
治癒しても再発や分離すべり症への進行に注意が必要で、分離すべり症へと進行した場合は外科手術を検討します。

すべり症

脊椎がずれる状態をすべり症といい、腰椎でよく見られます。
これにより腰痛や下肢のしびれが生じることがあります。
すべり症には「分離すべり症」と「変性すべり症」の2種類があります。
分離すべり症は、腰部の過度な負荷で起こる疲労骨折が原因です。
変性すべり症は、中高年に多く、椎間板の変性により椎体がずれる状態で、脊柱管狭窄を伴いやすいのが特徴です。

症状

分離すべり症は、腰痛が主な症状で、腰を反らす動作で痛みが増します。
神経根が圧迫されるとしびれや下肢の痛みも生じます。
変性すべり症は、脊柱管狭窄を伴い、しびれや下肢の痛み、間欠跛行、排尿障害などの症状が現れます。

治療法

治療の第一選択は、鎮痛剤、安静(コルセット)、リハビリなどの保存療法です。
疼痛に対しては、ブロック注射も実施されます。
また、これらで改善が見られない場合には手術を検討します。

腰痛が癌だった!?病気の可能性

腰痛の多くは、筋肉の疲労や骨の老化によるもので、これらは楽な姿勢により痛みが軽減することが多いです。
一方で、姿勢に関係なく続く強い痛みがある場合、重大な病気によるものの可能性があるため、早期の検査が必要です。

急性胃炎・胃十二指腸潰瘍

急性胃炎や胃十二指腸潰瘍では、みぞおちや背中に痛みが現れます。
食事によって痛みが変化し、食後や空腹時に痛みが強くなることがあります。
胃酸を抑える薬を使い、改善しない場合は詳しい検査が必要です。

急性膵炎

急性膵炎は胆石や過度な飲酒により膵臓に炎症が生じる疾患です。
左上腹部や背中に突き刺すような痛みが現れ、仰向けで痛みが増します。
重症化の恐れがあるため、早期治療が重要です。

大動脈解離

大動脈解離は大動脈の壁が裂ける疾患で、突然の激しい痛みが胸や背中に現れ、裂け目が広がると痛みがお腹や腰に広がります。

腹部大動脈瘤

腹部大動脈瘤は大動脈の一部が膨らむ病気で、無症状の場合が多いですが、破裂すると突然の激しい痛みがへそ周囲や腰に現れます。

腎盂腎炎

腎盂腎炎は腎臓の細菌感染症で、高熱と共に背中から腰にかけて重い痛みが現れます。
尿や血液検査で診断し、重症の場合は入院が必要です。

尿路結石

尿路結石は腎臓で作られた石が尿管に詰まる病気で、突然の激しい痛みが背中から腰に現れます。
鎮痛剤を使用し、痛みが治まるまで待ちます。

化膿性脊椎炎

化膿性脊椎炎は背骨の細菌感染症で、発熱と共に日に日に強くなる腰痛が特徴です。

脊椎への癌の骨転移

骨転移は他の癌が骨に広がることで、強い痛みや骨折を引き起こします。
早期診断と治療が重要です。

腰痛の検査と診断

腰痛の原因を調べるために、問診や診察、X線検査などの各種検査を実施します。
その後、原因に応じた薬物治療や理学療法を提供し、生活指導や腰痛体操の指導も行います。

腰痛の治療

腰痛の治療薬物治療には、鎮痛消炎剤や筋弛緩剤、神経ブロック療法などを単独または組み合わせて使用します。
また、理学療法は、医師の指示のもと理学療法士が運動器リハビリテーションを実施します。
必要に応じてコルセットなどの装具療法を用いることもあります。

腰痛の予防

腰痛の予防法にはいくつかの効果的な方法があります。日常生活に取り入れることで、腰痛予防が期待できます。

正しい姿勢の維持

座るとき:椅子に深く座り、背もたれに背中をつけ、腰を支えるクッションを使用します。足は床にしっかりとつけ、膝は90度に曲げます。
立つとき:背筋を伸ばし、肩をリラックスさせます。片足を少し前に出して体重を均等に分散させると良いでしょう。

適度な運動

筋力トレーニング:腹筋や背筋を強化することで、腰にかかる負担を減らします。特にコア(体幹)を鍛えるエクササイズが効果的です。
柔軟性の向上:ヨガやストレッチングで筋肉の柔軟性を保ちます。特に腰部、ハムストリング、臀部のストレッチが重要です。
有酸素運動:ウォーキングや水泳などの全身運動で全体的な体力を向上させます。

重い物を持つときの注意

持ち上げ方:膝を曲げ、腰を落として物を持ち上げるようにします。背中を丸めず、物を体に近づけたまま持ち上げます。
重さの調整:無理に重い物を一度に持たず、できるだけ軽く、分割して運びます。

体重管理

健康的な体重:過体重は腰に余計な負担をかけます。バランスの取れた食事と定期的な運動で適正体重を維持します。

適切な寝具の使用

マットレス:適度な硬さのマットレスを使用し、体のラインに合った姿勢を保ちます。
枕:首と背骨の自然なカーブをサポートする高さと硬さの枕を選びます。

定期的な休憩と体の動かし方

デスクワーク:長時間同じ姿勢で座らず、定期的に立ち上がってストレッチや軽い運動を行います。
車の運転:長時間の運転は避け、途中で休憩を取り、体を動かします。

ストレス管理

リラクゼーション法:深呼吸や瞑想、趣味などでストレスを解消し、心身の緊張を和らげます。