- 5分で痛みの原因を解消「動注治療」
- モヤモヤ血管とは
- 動注治療の対象疾患
- 動注治療の回数と効果
- 動注治療のメリット・デメリット
- 動注治療の流れ
- 動注治療の副作用・リスク
- 動注治療が受けられない方
- 動注治療の費用
- よくある質問
5分で痛みの原因を解消「動注治療」
「動注(動脈注射)治療」とは、ヘバーデン結節・プシャール結節などの変形性疾患、足底腱膜炎などの腱炎付着部炎に伴う新生血管(モヤモヤ血管)に対する治療です。手首または足首の動脈から細いチューブを挿入し、薬液を注入し異常な新生血管を塞栓することで、炎症および痛みを改善します。治療に要する時間は約5分で、副作用、日常生活中の制限もほとんどありません。
該当する疾患の診断を受けた方、手や足のしつこい痛みでお悩みの方、手術はできるだけ避けたいという方は、お気軽に当院にご相談ください。
モヤモヤ血管とは
「モヤモヤ血管」とは、「画像検査でぼんやり映る異常な血管」のことを指します。もともとある正常な血管とは異なり、病気の原因となることから、「病的新生血管」とも呼ばれます。
モヤモヤ血管周囲の病的神経の増殖、病変の圧迫の増悪などにより、炎症や長引く痛みを引き起こします。モヤモヤ血管はしばしば、スポーツ・仕事・家事などで酷使する部位に発生します。
モヤモヤ血管セルフチェック
手、足、肘などで以下のような症状が続いている場合には、モヤモヤ血管の発生および何らかの疾患が疑われます。
- 圧迫すると痛む
- 安静時、夜間にも痛む
- 起床後の動き始めだけ痛む
- 痛みに加えて腫れがある
- 激しい運動をした後に痛みが出る・増す
動注治療の対象疾患
- へバーデン結節(第1関節の痛み)
- プシャール結節(第2関節の痛み)
- 足底腱膜炎
- 関節リウマチ
- 手腱鞘炎
- 手根管症候群
- 母指CM関節症
- テニス肘
- ゴルフ肘
- 野球肘
- 外反母趾
- TFCC損傷節
- アキレス腱炎
- 偏平足による痛み
など
動注治療の回数と効果
治療回数の目安
個人差はありますが、1回の治療で多くの方が効果を実感されています。効果の現れる時期は、おおよそ数日後~数週間後が目安です。
必要に応じて、1カ月以上の間隔をあけて2~3回と繰り返します。
効果
主となる効果は、「痛みの軽減」です。
ある調査では、ヘバーデン結節、足底腱膜炎において「動注治療前と比べて痛みが半分以下になった」と答えた人が約7割に達しています。また「何らかの効果を実感した」という人は、約9割にものぼります。
ステロイド注射と比べた場合、副作用をほとんど気にせず何度でも繰り返せるという点が大きなメリットとなります。
動注治療のメリット・デメリット
メリット
- 即効性が高い
- 局所的に高濃度の薬剤を届けられる
- 長期間の症状緩和が期待できる
- 外来で短時間で受けられる
デメリット
- 一部の患者さんには適応しない場合がある
- 動注部位に一時的な不快感があることがある
- 薬剤に対するアレルギー反応が稀に発生することがある
動注治療の流れ
1診察
医師が問診、レントゲン検査・超音波検査などを行い、モヤモヤ血管の確認、動注治療の適応となるかどうかの診断をいたします。
2麻酔
手首または足首の施術箇所に麻酔注射を打ちます。
3穿刺
細い注射針あるいは点滴に用いる細いチューブを手 (あるいは肘)または足(あるいは膝)の動脈に挿入し、超音波で観察しながら薬液を注入して、モヤモヤ血管を塞栓します。
4止血
少量の出血がありますので、5分ほど圧迫して止血します。
動注治療の副作用・リスク
動注治療は安全性の高い治療ですが、これまでに以下のような副作用が報告されています。
頻度は低く、また発生した場合もほとんどが半日~数日以内に消失します。副作用が強く出る・長引くということがございましたら、すぐに当院にご連絡ください。
- 皮膚の色調の変化(通常、30分以内に元に戻ります)
- モヤモヤ血管が塞がれたことによる一時的な痛み、違和感
- 針を刺した部位の皮下出血、皮下血種
- 知覚異常
- 感染症
- 麻酔液、薬液に対するアレルギー
動注治療が受けられない方
以下に該当する場合、原則として動注治療を受けることができません。該当するかどうか分からないという場合には、一度ご相談ください。
- 心臓ペースメーカーを使用している方
- 悪性腫瘍のある方
- 心臓疾患のある方
- 妊婦さん、出産直後の方
- 知覚障害のある方
- 脊髄骨折、捻挫、肉離れなどに伴う急性疼痛
- 治療部位に傷がある場合
- 38℃以上の発熱がある場合
- 著しい体調不良があり安静が必要な場合
- 脊椎(背骨)の異常、弯曲、椎間板ヘルニア など
動注治療の費用
現在のところ、動注治療には保険が適用されません。
全額、患者さんの自己負担となります。
へバーデン結節、ブシャール結節、母指CM関節症 など
費用(税込) | |
片側 | 27,500円(税込) |
両側 | 38,500円(税込) |
足底腱膜炎、外反母趾、母趾種子骨障害 など
費用(税込) | |
片側 | 33,000円(税込) |
両側 | 44,000円(税込) |
よくある質問
動注治療は痛いですか?
麻酔注射を打つ時、チューブを介して薬液を注入する時に、一時的な痛みがあります。また副作用として治療後に軽い痛みが出ることがありますが、こちらも一過性のものです。
動注治療1回の所要時間はどのくらいですか?
動注治療自体は5分程度で終わります。麻酔注射、止血などの処置を含めても、15分ほどです。
治療後、特に問題がなければ、お会計をしてすぐにお帰りいただけます。
動注治療を受けた日の注意点や制限はありますか?
デスクワーク、家事、散歩程度の軽い運動、シャワーなど、当日から再開できます。
当日中の激しい運動、入浴、飲酒についてはお控えください。原因疾患によっては他にも制限が生じることがありますが、基本的には当日からほぼこれまで通りの生活を再開できます。
動注治療で関節の変形も治療できますか?
モヤモヤ血管を塞栓する治療ですので、関節の変形の改善はできません。しかし、炎症を抑制する作用により、変形の進行を緩やかにする効果が期待できます。